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国内のベストプラクティス

オープンイノベーション
成功事例
組織

現在、オープンイノベーション活動を組み込んでいる日本企業は、残念ながら、数少ない状況です。しかし、仕組みがないからといって、オープンイノベーション活動が出来ないことはありません。これまでご支援させていただいた多くのプロジェクト中から、弊社が感嘆した事例をいくつかご紹介させていただき、成功のポイントを見出していこうと思います。

 

1.事例その①「オープンイノベーションに必要な4つの姿勢」

 

ニッチなマーケットで売り上げ百億円規模、国内シェアトップを誇っている企業のお話しです。同社のトップである3代目は、国内トップの地位に驕ることなく、むしろ危機感を抱いており、研究開発に関して貪欲でした。彼らは“オープンイノベーション“という新しい研究開発の潮流を知ると、すぐさま弊社のプログラムを利用し、彼ら自身の強みとしている技術にさらに磨きをかけるための新しい技術をグローバルに求めました。

現在、その探索結果をベースに新規技術の確立に向けて精力的に開発を行っており、可能性のある技術を有している組織にはすべて会いに行かれています。また、トップの決断が早く、費用がかかる試作、開発に関しても即断即決されるため、スピーディーにプロジェクトが動いています。

さらに、このチームメンバーは、誰一人、オープンイノベーション活動に関して否定的ではなく、少しでも商品を良くする為に会社全体が一丸となってひとつの目標に向かって進んでいます。

 

この企業様と一緒に仕事をさせていただく中で、オープンイノベーションに必要な姿勢を改めて認識させていただいた点は次の4つの姿勢です。

 

・自分たちの技術がNO.1とは思っていない謙虚な姿勢

・チーム一体となって目標実現に向かって取り組む姿勢

・可能性のある機会を逃すことなく最大限に利用している貪欲な姿勢

・スピーディーな意思決定力

 

2.事例その②「テーマの優先度とトップの後押し」

 

売上数百億円規模の企業のお話しです。何度か一緒にお仕事をさせて頂いているクライアントですが、弊社の事前の見立てでは社外から技術を得ることは難しいというテーマにも関わらず、彼らは必ず成果に結びつけています。

その成功要因はテーマの優先度の高さ、及びトップの後押しに尽きると考えています。同社では、自分たちが検討し、行き詰ってきたもの中でも優先度の高いテーマを役員の承認を経て社外技術探索テーマに設定しています。役員の承認を得ているテーマでもあるため、チームメンバーのモチベーションは高く、有望そうな組織があれば海外であってもすぐに訪問しています。

優れた製品を上市するためなら、社内で実施することにこだわらずに、社外でも海外とでも一緒にやるという気概が見受けられます。

 

・優先度の高いテーマ・担当者をしっかりと支援するトップの存在

 

ここまで見ると、企業規模的に小回りが利くことが重要かと思われるかもしれませんが、企業規模は関係ないと思っています。次からは、売り上げ数千億、数兆円規模の企業の活動をみてみましょう。

 

3.事例その③「担当者の情熱と諦めない心」

 

ある大手食品メーカーの事例です。新しい商品の製造技術に関してのご相談いただきました。この担当者様はあるコンセプトの商品化のために必要となる、特殊な製造方法をロールtoロールで実現すべく、既知の食品関連の装置メーカーをあたった結果、どこも出来ない、と断られていました。

 

一方で、担当者様は「食品分野にない技術なのであれば、逆にその技術を食品分野で実用化することができれば、既存商品との差別化になる」と確信していました。だからこそ、異分野の技術も探せるナインシグマにご相談に来ていただいていました。相談を受けた当時は、何を難しいことを求めているのだろう、と腰が引けていたのですが、担当者様の情熱に圧倒され調べてみると、食品以外の分野で実用されている技術であることが分かり、実現可能性があると考えました。

 

早速、その仮説をベースに異分野を中心に探索を行ったところ、結果的に食品以外の分野で有望なパートナーを見つけることが出来ました。現在、量産化に向けて開発が進んでいると聞いています。大変情熱的な担当者様であるともに、役員様もその若手の担当者様の活動を全面的に支援されていることも大きな一歩に繋がったと考えています。

 

・担当者のあきらめない心・自分たちの分野にない技術だからこそ、実現する価値があると考え、挑戦する意欲

・担当者をしっかりと支援するトップの存在

 

 

4.事例その④「企業規模は関係ナシ!大切なのは行動力」

 

国内の兆円規模の大手自動車部品メーカーの話です。この会社の面白いところは、オープンイノベーション活動が組織的なプロセスに組み込まれていないにも関わらず、個々のプロジェクトごとに、臨機応変にオープンイノベーションを活用している点にあります。

 

基本的に弊社にご相談頂く方々は皆様、大変好奇心旺盛であり、自分たちが達成すべき目標に関してあきらめない心を強く持っていらっしゃいます。自分たちでも一生懸命研究開発に取り組んでいる自負がある一方で、自分たちだけが取り組んでいるわけではない、という自身の立ち位置を冷静にかつ客観的に見られている点も特徴的です。

 

非常に難しいテーマが多いのですが、それらは世の中の研究者・技術者の挑戦意欲をくすぐることも多くあり、弊社のプログラムご利用後は、常になにかしらのとっかかりを得ていただいています。

 

さらに素晴らしいのは、面白そうと思った組織には国内外問わずすぐに「会いに行く」という行動力です。担当者様が自由に動ける環境が整っているのでしょう。組織が大きいから遅い、何もできないという話をよく耳にしますが、そんなことはない、と声を大にして申し上げたいです。

 

・あきらめない心・挑戦する意欲

・行動力

 

Man turning the word "Impossible" into "Possible"

 

5.まとめ

 

以上、4つの事例を挙げてみました。企業の大きさや組織化云々以前に、プロジェクトチームのあきらめない心、貪欲な姿勢、そして、それをサポートする環境(資金面含む)がオープンイノベーション活動の重要な成功要素となっていると思います。

 

また、チームの自前だけでやることにこだわらずに「何が何でも実現してみせる」という心は、技術を有している組織にも届き、さらに好循環を生み出しているのではないでしょうか。平易な言葉になってしまいますが、結局は“人と人が繋がる活動”です。正直、知らない組織とのやり取りも、手間がかかるものです。だからこそ、その手間を厭わないほどのプロジェクトの重要性や担当者の意欲というのは成功に必要不可欠なのだと実感しております。