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オープンイノベーション推進者の役割 3.手段・プロセスの構築

オープンイノベーション
推進者

前回は、オープンイノベーション推進者の最初の重要な役割として、「方針の策定」についてお話しました。今回は、「手段・プロセスの構築」の役割についてお話します。

ほんの数年前まで、多くの企業にとってオープンイノベーションは「開発を加速するためのオープンイノベーション」でした。しかし、この数年、これに加え、「アイデア創出のためのオープンイノベーション」、「社会実装・市場獲得のためのオープンイノベーション」を志向する企業も増え、その手段も技術探索にとどまらず、アイデアソン、ベンチャーピッチ、イノベーションコンテストなどへと広がりを見せています。会社の経営計画を実現する上で、より適したオープンイノベーションの目的や手段が選べるようになってきているわけです。

そのため、「手段の構築」において、まず求められるが、先進企業・大学・ネットワーク組織などによって試みられている新しいオープンイノベーションの動きを積極的にキャッチし、まずは実践を通じて習得・評価することです。もし効果があり、また、経営計画の実現に役立つようであれば、来期のオープンイノベーションの方針に反映させることができ、成果を上げやすくなります。

オープンイノベーションはニーズや活用目的に合った手段があってはじめて、求める相手が見つかる確率が高まります。また、見つかる確率が高くなってはじめて、求める相手が見つかる期待値も高くなり、オープンイノベーションの活用アイデアがグッと広がります。ですので、新しい仕組みだけでなく、既存の仕組みも、オープンイノベーションのビジョン・方針に合わせて常に、維持・改善していく必要があるのです。

また、オープンイノベーション活動を通して関係を築いた社外組織や、彼らの技術情報を社内で共有するためのデータベースを構築することも、とても重要な活動です。データベースがあることにより、既知の社外組織と協業できる幅も広がりますし、アクセスしやすい社外技術の情報が増えれば増えるほど、オープンイノベーション的な発想が豊かになります。

手段の構築と並行して重要となるのが、オープンイノベーションのプロセスやルールの構築・改善です。オープンイノベーションを前提とした業務プロセスやルールがもともと存在している会社はほとんどありません。社内ルールの拡大解釈力や例外扱いの承認獲得力のある一部のアウトローだけでなく、社内ルールを忠実に守る優等生でも実践できるプロセスを作る必要があるのです。例えば、「マスター契約書を作成し、発注
書だけで探索プロジェクトを実践できるようにする」、「試作品の作成費用を前払いできるよう、前払い試作費をプールしておく」、「法務部門におけるオープンイノベーション活動の相談窓口を決めておく」などということを用意するだけでも、格段に進めやすくなります。

次回は、オープンイノベーション推進者の重要な役割として、「啓蒙・育成」についてお話します。